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日本人になり過ぎちゃいました!

日本で頑張るリアルワン君にニャパンがインタビューする

『Akadama FAN(Friends Actual Note)』。

第6弾~フランスからきたオリヴィエさん

◆どうして日本に興味を持ったのですか?

アニメがきっかけです。子供の頃、フランスで「キャンディキャンディ」「UFO ロボットグレンダイザー」「キャプテンハーロック」「ベルサイユの薔薇」などを見てはまりました。空手も習いはじめ、日本の有名空手家の弟子だったフランス人の先生は、日本の哲学も教えてくれたので興味が倍増。高校生から独学で日本語を勉強し、大学では日本語学科を専攻しました。日本語を学ぶのは面白かったですね。漢字は一文字でも多様な意味が表現できるのがすごい。修士論文のテーマは俳句。特に与謝蕪村が大好きです。ですが、ワビサビといった日本独自の感性は理解するまでには時間がかかりました。フランス人にはない感覚なので、日本人の友人や先生に聞いて、徐々に理解できたと思います。日本の文化、歴史、経済など、幅広く勉強するうちに、もっと知りたい、いつか日本に行きたいという思いが募っていきました。

◆宮崎駿作品のマンガを翻訳するきっかけは?

最初は仕事ではなく自分で翻訳に挑戦してみたのです。手塚治のマンガ「アドルフに告ぐ」を翻訳し、出版社に持ち込みました。これは不採用でしたが、他のマンガ翻訳を依頼され、翻訳家としてデビューすることに!その後は「ドラゴンボール大辞典」などを手がける中で、宮崎駿の「風の谷のナウシカ」の翻訳に抜擢されました。日本語特有の「ダダダ―」「ギギギー」といった擬態語は訳さないといった、さまざま独自のルールがあり、ハードでしたが充実した仕事になりました。翻訳では、文化的な背景までを理解した表現が求められるので、ファンタジーより日本の日常が出てくるストーリーはより難しさを感じます。ジブリ作品を含め、手掛けた作品は約20作品。うれしかったのは、以前に翻訳した「攻殻機動隊」の内容が評価され、95年~2007年までの全作品をまとめた、「攻殻機動隊のパーフェクトブック」を作る企画で、再度お声がけをいただけたこと。今年の6月に仕上げたばかりです。

◆日本にはいつ来たのですか?

2001年です。西葛西に住み就職活動からはじめました。ホテルの仕事を見つけ、翻訳も続けながら生活していました。翌年には、2008年に北海道サミットが開かれた高級ホテル「洞爺湖ウインザーホテル」に就職が決定。日本に来た当初、言葉に不自由はしなかったのですが、今より丁寧に話していたから、面接がうまくいったのかも(笑)。2年半ほど働いた後、「横浜パンパシフィックホテル」からのオファーがあり、北海道を離れました。ここで5年ほど勤務し、2012年に日本人の妻とイベント企画運営、輸入業、翻訳などを請け負う会社を立ち上げました。

◆実際に日本に来て、驚いたことは?

日本について色々と勉強をしていたのでカルチャーショックはなく、ここならずっと住み続けられると確信しました。「郷に入っては郷に従え」のことわざ通り、日本の社会や文化をフレキシブルに受け入れるのも抵抗はありませんでした。困ったことや嫌な思をしたこともないです。前世が日本人だったのかも? 現在もフランス流の長いバカンスを取らずに働いていますから、日本人になりすぎてしまったのかも(苦笑)。

◆フランスと日本の違いを感じることは?

フランスでは料理が一品ずつ出て来るのですが、日本では一度に運ばれてきますよね。これはちょっと驚きました。あとは、何人かで飲みに行くとみんな「とりあえずビール!」で始まります。私はビールも好きですが、フランス人は個人主義なので、各自好きな飲み物を頼むスタイル。それから、お酒をつがれたのにも戸惑いました。「お酌」もフランスにはありませんからね。

◆日本の好きなところはどこですか?

日本人が、他人に対して気を使うところ。だから快適に過ごせます。私の母親が日本に遊びに来た時、母は車椅子で移動しているのですが、駅など公共の場所で周りの人たちがとても親切に手を貸してくれたのです。ホテルや施設のサービスが丁寧でまさに「おもてなしの心」と母も私も大感激。フランスにはないホスピタリティです。もちろん、日本の文化や料理、そして日本酒も大好きです。ただし、唯一苦手なのが納豆。何度も挑戦してみたのですが、どうしても喉を通りません……。

◆日本酒との出会いのきっかけは?

日本に長く住んでいましたが、日本酒はそんなに飲まなかったし、あまり美味しいとも思っていませんでした。それが、3〜4年前でしょうか。青森県八戸市の友人を訪ねた時、地酒の「陸奥八仙」を飲んで目からウロコ。香り、味、後味のキレ、その美味しさはまさに衝撃。気が付いたら一升瓶飲んでしまっていたくらいです。それから

ワインとは違う日本酒の魅力にとりつかれ、2015年に利酒師の資格まで取得しちゃいました。

◆日本酒とフランス料理は相性が良いのですか?

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日本でもホテルでシェフたちと料理について意見交換し、メニューをプロデュースしていた経験から、日本酒をティスティングすると「これは、このチーズとあうな」「これならフォアグラだ」とピンと閃きます。フレンチと日本酒のマッチングは実に奥深いです。ただ、自分が思っているフランス料理と日本酒のマリアージュが、実際に日本人にどう受け入れられるかが気になります。今は、イベントを開いて日本の方たちのさまざまな意見をリサーチしているところです。

◆将来の夢は?

フランスで酒バーを作ること。フレンチと日本酒のマリアージュを楽しんでもらえるお店にしたいです。今、フランスでは日本酒はブームですが、紹興酒のような酒だと誤解している人もまだ多いのがとても残念。本当に美味しい日本酒をフランス人に知ってほしい!日本にもそんなお店を出して、日本酒によって引き出される新たなフランス料理の味わいを発見してもらいたいという夢もあります。日本酒と食を通してフランスと日本の架け橋になれればいいですね。

◆ニャパン後記◆

オリヴィエさん自身がまさに、フランスと日本ベストマリアージュ!キラキラ輝きを放つ存在感はまぶしい程。興味を持ったことには猪突猛進。とことんのめり込み、極めていく。勉強熱心でフットワークも抜群のオリヴィエさん。日本以上に日本を知っている!

だからこそ、ジブリ作品の翻訳者に抜擢されたのでしょう。ニャパンもフランス語で「風の谷のナウシカ」を読んでみたい。フランス人の利酒師オリヴィエさんがプロデュースするイベントにも興味津々のニャパンなのでした。


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